不動産の鑑定評価・コンサルティング・不動産売買

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不動産まめ知識

2021年04月13日

要注意!~アパートを兄弟姉妹で相続するとき~

あるお客様から相続についてのご相談がありました。

★ご相談の内容★
父親の相続財産にアパートが数棟ありました。 相続人は母と兄弟姉妹3人です。 本人の希望で、アパートは長男が相続することにして、母と私と妹にはお金を支払うということで、遺産分割協議がまとまりかけていました。しかし、私は兄から支払われるお金が、毎月家賃収入があるアパートなのに安すぎるのではないか?と感じています。これって本当に公平な分け方なのでしょうか?

1.換価分割と代償分割

不動産は現物で簡単に分けられないため、換価分割(不動産を売却してお金に換えて分割する方法)や代償分割(不動産を取得した人から他の人へお金を支払って分割する方法)が行われます。換価分割にすると、不動産を売却することになるので、相続人のだれかがそこに住んでいれば、住居を失うことになります。また、収益物件の相続であれば、家賃収入がある不動産を簡単に手放すのはもったいないということにもなります。そこで代償分割ということになるわけですが、相続人の間でやりとりするお金の額について相続人の間でトラブルになることが多いのです。

もめる相続の典型的なパターンと言えるでしょう。

不動産等の現物分割が難しい遺産を1人または数人に取得させ、他の相続人にその代償として支払われるお金のこと代償金(代償交付金)と言います。

遺産分割協議書にはこの代償金の金額を明記しなければなりません。

2.時価評価は相続税評価とちがう!?

ここで問題となるのが、不動産の評価方法です。
相続する不動産の評価額によって、代償金の金額が変わるからです。
勘違いされがちなのが、相続税申告で用いられる相続税評価額で代償金を算定するということです。


結論から言うと、代償金算定の基礎となる評価額は不動産の「時価」ですが、これは「相続税評価額」とは同じではありません。時価はその時売却したらいくらになるか?すなわち売却査定額に近いものです。相続税評価額は課税のための評価額なので、時価よりも低くなることが多いのです。特にアパートの場合は、借家権、借地権の評価減もあるので相当低くなることがあります。

先にご相談に来られた方も代償金査定の基礎となる評価額が、相続税評価額で決まりそうになっていたため、年間で相当な収益を生み出しているアパートが、こんなに評価が低いものなのか疑問に感じ、一人で悩んでおられたのです。

一通りお話を聞いてから「相続税評価額は相続税の計算をするためのもので、時価とは言えません。特に収益物件の場合は時価よりも相当低くなっていますよ。」とお話したところ、「ずっと抱えていた疑問が解けてすっきりしました」とお顔の表情も明るくなりました。その後、弊社が不動産鑑定評価を行い、適正な時価をご報告させていただきましたが、その結果、お一人が受け取る代償金の金額は数百万円多くなりました。代償金を多く負担することになったご長男も適正な時価評価で精算できたことで納得していただいたということでした。

不動産の時価が簡単にわからないため、相続税評価額で遺産分割でしてしまうと真に公平な分割とはならないことに注意が必要です。特にアパートの相続の場合は要注意なので、専門家に相談することをおすすめいたします。

ここに注意!! ワンポイント
■代償金は相続税評価ではなく時価評価で算定しましょう

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